日本・中国・韓国子ども童話交流事業 日本語
2005年度活動報告
  イベントレポート  
 
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イベントを終えて
   2005年8月16日から22日までの1週間、東京・代々木と静岡(しずおか)・御殿場(ごてんば)を舞台(ぶたい)に、日本・中国・韓国の子どもたち99人による「子ども童話交流2005」が開催(かいさい)されました。このイベントは「子どもの未来を考える議員連盟」「社団法人全国学校図書館協議会」「独立行政法人国立オリンピック記念青少年総合センター」の3団体からなる、「日中韓子ども童話交流実行委員会」の主催(しゅさい)で、今年で3回目の開催となります。

 日本全国から選ばれた小学校4年生から6年生までの男女50人と、中国・韓国の同年代の男女25人ずつ、合計100人が24時間行動をともにし、さまざまな共通の体験を通して理解と友好を深めます。また、その体験をもとに3か国の子どもたちがいっしょにストーリーを考え、絵と文を描(えが)き、製本してオリジナルの手作り絵本を完成させるという、世界にも例のない画期的な取り組みに挑戦するのです。

 しかし8月16日の午前中、宮城県では震度(しんど)6弱を記録する大地震(じしん)が発生。関東でも大きなゆれを感じるほどで、いたるところで交通が一時ストップするなど、スケジュールの乱れを心配するスタートとなりました。結局、成田空港・羽田空港・東京駅などを含(ふく)む関東の主要地域(しゅようちいき)での被害(ひがい)は見られず、参加者のほとんどが予定どおりに到着(とうちゃく)、無事に開会となりましたが、東北方面の新幹線が終日ストップした影響(えいきょう)で、3名が車で国立オリンピック記念青少年総合センターを目指すという試練(しれん)を乗りこえての参加となりました。

 日本に来るのは初めてだという中国や韓国の参加者はもちろんのこと、ひとりで1週間も家族とはなれるのは初めての日本の子どもたちも多く、オリンピックセンターに到着(とうちゃく)したときは、どの子どもも例外なく期待の中に不安が交じった複雑なようすでした。しかし、主催者側の万全の受け入れ態勢と、毎日企画(きかく)されている楽しいイベントの数々はそんな不安をすぐに吹(ふ)き飛ばすほどすばらしいものでした。

 全体オリエンテーションには、河村建夫(かわむら たけお)衆議院議員や中曽根弘文(なかそね ひろふみ)参議院議員をはじめ童話交流の実現(じつげん)に向けて力を尽(つ)くした関係者が出席しました。翌日の結団式には、河村、中曽根両議員に加え森喜朗(もり よしろう)衆議院議員や中国・韓国大使館関係者などの要人(ようじん)が出席しました。参加の子どもたちも、国際親善大使として大きな責任を背負っているという自覚を感じているようでした。

 国立国会図書館国際子ども図書館の訪問に始まり、歓迎レセプション、御殿場での野外炊飯(やがいすいはん)、樹海と風穴・氷穴探検、山中湖遊覧、富士登山、富士サファリパークや地元の子どもたちとのふれあい、そして絵本作りに至(いた)るまでのさまざまなプログラムが用意され、子どもたちは互(たが)いの友情を育てていきました。

 小さなケンカもありました。「お母さんが恋(こい)しい、家に電話したい。」と、ホームシックにかかったこともありました。しかし、そのひとつひとつを自分たちの力でのりこえたことで、これから先、日中韓の子どもたちが末長く心の交流を続けるための大切な第一歩になったのです。

 そして、それらの貴重な体験と相互(そうご)理解への道のりは、童話交流の大きな目的のひとつである、みんなで作る絵本に結集しました。東京での出会いには期待と不安が交じっていました。しかし楽しいイベントや自然観察の中で、みんなで力を合わせれば何でもできるんだということを体験しました。この先自分たちの間にどんな問題が起きようとも、友情の力があれば解決できるのだと理解できたのです。絵本作りを指導してくれた大西伝一郎(おおにし でんいちろう)さんは「子どもたちには今ある現実にしばられないで、お話の中で翼(つばさ)を広げて飛びまわって欲しいのです」と述べました。

 大西さんの指導を受けて、どの作品もあっと驚(おどろ)くような展開を見せました。子どもたちの体験が動物に姿を変えて、生き生きと表現されていました。

 日中韓の子どもたちが別れる日は、みんな大つぶの涙(なみだ)を流しました。この美しい涙は、子どもたちの心に芽生(めば)えた友情に、いつまでもうるおいをもたらし、やがてアジアの平和と友好の花を咲かせることでしょう。
 
   
   
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